壁に向かって話し続ける

オタク女の備忘録

刀ミュ 静かの海のパライソ 感想

 

こんにちは。お久しぶりです。

なんかコロナで演劇もライブも中止中止ですね……パライソも兵庫公演全て中止になってしまって、仕方ないとはいえショックです。

運良くパライソを観劇できたオタクとして、久しぶりに刀ミュの感想を書きたいと思います。まあ愚者なので銀劇三階席なのにオペラグラスを忘れて軽く絶望したのですが。さすがにアホすぎ。

というわけで以下ネタバレありです!多分例のごとく長くなるのでテキトーに斜め読みしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • テーマに関して

ざっくり一言で感想を申し上げると、「心折れた。」既存の公演もなかなかエグかったとは思うけど、今回のパライソはかなりメッセージ性が強く、これは現実でも起こっていることだと観客が思い当たるように作られているのが明白だった。そういうのも含め、刀ミュっぽくないな〜とこれまでで一番感じた。

 

 

 

この公演を観てるのがほぼ全員「オタク」であるという前提に立った感想ですが。

刀剣乱舞のシーン、光の中で舞う彼らを見て例のごとく感慨深くなり、「私はこの"光"を観にきてるんだよ……」と思ってたら、そのすぐ後に鶴丸か誰かがキリシタンたちのことを「彼らは光を求めているんだ」って言ってて、テレパシー?となった。「何かに縋らないと生きていけない」という一点で私は彼らであり、光を求めて撫で斬りにされたのはifの我々だといえる。

いや冷静に考えて、「オタク活動は今後違法になります!」って言われたらそりゃ反乱起こすわ。

 

 

 

  • 「2.5」からの脱却/二項対立の否定

本作は天草・島原の乱を取り扱っているが、あくまでも「2.5次元ミュージカル」である。典型的な2.5のようにキャラクターの深掘りを目的にするんだったら、ただの背景である天草島原の乱キリシタン軍VS幕府軍という対立構造にしてしまうのが分かりやすく、キャラクターを描く上で「ノイズ」にならないのは素人の私にもわかる。

が、刀ミュはこれまでも「2.5次元」からの脱却を図っており、「歴史もの原作の2.5」というよりも「キャラクターの出てくる歴史もの(一般演劇)」と呼ぶ方が近いような作品がいくつもある。この流れを本作パライソも受け継ぎ、これキャラクター目当ての観客は期待外れなのでは……?と心配するほど、「史実に材を得たストーリー」の方を重視した脚本になっていた。

そして、前述の対立構造を避けるためにわざわざ一曲使って「境界線をどのように引く」とか、「白でも黒でもない立場、青や赤もいるだろう」とか鶴丸に言わせていて、ポスト構造主義的〜!になった。物事を単純化するのは良くない。それはそう。

 

 

 

  • 歴史の確実でない部分の描き方

家臣ズの「父上から大坂の陣の時の話を聞いているので初陣ではない」ってのハッとした。キャラクターに生きた人間としてちゃんと血が通っている……。江戸初期にも武士はいたし彼らは戦の経験が薄かったんだってこと、あまり実感としてはなくない?文章を読むだけでは実感がわかないようなところをちゃんと掬ってくれる。

終盤の鶴丸の「三万七千!数字じゃない、一人ひとり生きていたんだ!」もそうだよな。戦は人間をただの頭数にしてしまう……

 

 

 

山田さんかわいそうすぎない?私は本作を観て初めて山田右衛門作という人物を知ったんですけど(鶴丸が「山田右衛門作」って言うたびに「エモ作……?」になっていた。エモーショナル・作。)史実ではどうしてこんなことに……

ja.wikipedia.org

まあ味方を売って幕府側に寝返り自分だけ助かったらしいんですけど。それを考えると、寝返らなくてよかった本作での歴史は、本人にとっては割とよかったのかもしれん。信仰を捨てることより仲間を捨てることの方が精神衛生によくないと思うので(私見)。

それで、本物の(殺された)天草四郎と、偽の天草四郎鶴丸)と、地獄の三角関係になってて最悪……と思った。この場合の最悪は最高という意味も含むのですが。良い関係性ですね。ニコニコ。

仲間(本物の四郎)と信仰/布教(鶴丸の四郎)のどちらを取るか。彼は信仰を取ったんですね……一応最後まで棄教してはいないしな。

 

それで、「山田さんをはじめとするキリシタンたちはなぜ暴力を手段として選んでしまったのか?」という命題について。山田は鶴丸に「君が選んだんだから君が決着をつけろ」などと苦しむことを強いられるが、そこまで彼は悪い行いをしたのか?

①前提

生活が苦しい+お上に請願等ができない

②その結果

何かにすがって現実逃避をする(キリスト教への帰依)/暴力をエンタメ化して娯楽とする

→団結すれば藩を転覆させられる可能性に気づく

→集団心理としての暴力が発生、エンタメ化とのループ

 

寺社の焼き討ちや一揆に参加しない者への攻撃

一神教はクソ(私見)だし、やっぱ暴力をエンタメとしてる人も多かったのでは。でも仮に我々が推しを取り上げられたとしてもあんな感じにキレない?他のオタクが一揆に参加してなかったとしたら「お前はこれだけ抑圧されてて平気なのか!?バカなの!?」ってなる。私は。鶴丸に非難されてしまうな。ともかく、抑圧された上の暴力であることは情状酌量の余地があると思いますが……

結論・鶴丸やっぱ厳しすぎ。

 

松倉重政(乱の原因となった苛政をした暗君)も初めて知ったのでちょっと調べたら、ど鬼畜エピソードの宝庫でドン引きした。

ja.wikipedia.org

このwiki読んでる間だけで20回くらいため息ついたもんな。マジで酷すぎるので知らない人は読んでほしい。鶴丸、このことを知った上でキリシタンの暴力を非難してたのか?だとしたらヤバいが……情操教育に失敗しとるよ審神者

 

 

 

  • 演出など

幕府軍に押されてる戦場で、鶴丸(四郎)を見つけたキリシタンたちが手を合わせてその後ろから斬り殺されていくのほんとさ、ゴヤの絵かと思った。観てない人に説明すると、観客の方向いて一列に並んで手合わせてて、順番に殺されていくんですよ。鶴丸視点なのかよと。あれを見ても何も感じない鶴丸やっぱ心療内科行ったほうがいいんだよな。上から降ってきたのも花吹雪かとおもったら血飛沫だし……

あの弟、生き残っててよかった!になってたら、物部になるんですねアレ……多分だけど……ドン引きでしょ。孤児を拐ってきて……物部に……?これを許容してる時の政府の倫理観。ミュくんどんどんヘビーになってくな……

ていうか村正派も旅立ったんやね。サラッと言われてびっくりした。自己肯定感の高まった村正が……見たい!

 

 

 

  • 楽曲

今回はかなり曲が多かった。

まず冒頭から、2〜3曲続けて人間たちの歌(インフェルノ〜のやつ)でセリフが全然出て来ず、劇団四季観に来たんかな?と思っちゃった。そんな感じだったので全曲はちゃんと覚えてないんですけどざっくり。

・耽美系の曲がたしか3曲あった。松井の登場シーンのソロ曲、ゴシックな感じでニコニコした。3拍子のキリシタンの曲もよかった。

豊前の登場ソロ曲もすごかった。時間遡行軍をバイクにしてた。アレ何?

 ・ラップが数曲あってちょっとビビった。 最初の方の鶴丸メインの曲とか大倶利伽羅のトレーニングソングとか。

my name is 四郎♪ 天草四郎♪ 民衆が作り上げた救世主♪

↑これもラップだよね?

 ・あと刀剣乱舞の歌詞割り!

始まるぜ驚愕の真剣勝負

最後の一雫この血尽きるまで(   ) 

戦道一人行く漆黒の龍

風を切り走るぜ目にも留まらぬ音速の剣

荒波を越えていこう

(     )正宗の力

 

白( )を赤く染め抜いて戦場に降り立つ

俺は戦い抜く 刀として生き死ぬまでだ

 カッコ内曖昧で……。中サビ(?)の鶴丸、葵咲本紀の時は「白木綿(しらゆう)を〜」だと思ってたけど「白絹」かもしれん。

 

 

  • キャラとか

鶴丸

自分にも他人にも厳しいタイプじゃん。こんな上司は嫌だ2020大賞受賞です。(ちなみに2019はみほとせ石切丸)

知恵伊豆と勝手に理解し会えた気になってんじゃないよ。あのシーン、知恵伊豆ずっと「え?え?誰?え?」って感じじゃなかった?ディスコミュニケーション

「我々にできるのはこの戦がなんのためのものか考えることだけ」は鶴のセリフだったっけ?知恵伊豆のセリフだったっけ?言葉より行動だろ!!!!!本質主義鶴丸実存主義の長曽祢さんじゃん。 まあメタ的に見ればやっぱ観客に考えさせるためのセリフなんでしょうけど……

あとめっちゃ三日月との関係匂わせてくるやん……になった。静かの海の曲、(静かの海=月のクレーターのことを)「風が吹かないつまらない場所」とか「連れて行ってくれよ」とか言ってたよな、、、あそこの背景は満月だったっけ?「風の吹かない」「つまらない」ってことは光の当たっていない(=確実でない)歴史のことなんだろうけど。

風の暗喩も気になるよな。三日月が時間の流れない(遡行することで一元的な時の流れの支配から解放されている)位置にいるってこと?

ただ、大倶利伽羅とのデュエットはマジでよかったな。2人とも歌がうまいのでハモりもめっちゃ綺麗で最高だった。いい歌唱を見ると時間止まれ〜!と思いますよね……

 

・松井

感情吐露しないのが気になった。豊前も松井のサポートばかりで自分の感情をあまり見せてなかったし…… あの最後のとってつけたようなハッピー?エンドは何!?ちょっと恐怖感じたが。梅干がなかったらあれどうなってたのよ。

今回はキャラクターの成長譚というこれまでの基本を踏襲してない感じで、あまり予定調和感がなかったのが不安を感じた原因なのかもしれん。私は予定されたハッピーエンドを安心して観たいタイプなんですね多分。

でも鶴の「目を閉じるな!!」で兄弟が殺されるところを目撃しちゃう松井、おそらく初陣なのにPTSDにならないか心配。審神者はカウンセラーの資格を取った方がいい。避けようがあったダメージを避けさせないのは暴力じゃないですか!?鶴丸さん!!一言お願いします!!

泣き方も痛々しくてこっちが泣きそうだった、、、ビンタだけで収めたの逆にえらすぎ。鶴丸は気持ちの整理の仕方(海に叫ぶとか)、割り切り方を知ってるだろうけど、松井はまだ新人なんだぞ!辞職したいって言い出したらどうすんだ!!私が審神者だったら鶴丸のことマジで怒ってる。ミュの審神者とちょっと思想の乖離を感じますね……

でも「気まずくてあれ以来喋ってない」でワロタ。それはそう。

美少女フェイスから繰り出されるハスキーなバリトンよかったですね。

 

豊前

思ってたよりストーリーのメインには入ってこなかった印象。「松井が過去を乗り越えるために必要だから」って鶴にお礼してたのちょっとそれでいいのか?!になった。てか顕現されたばかりでも身内意識ってあるんかな?一緒に過ごしていくうちに芽生えるもんだと思ってた。

爽やか好青年すぎんだよな〜!なのに2部では……。次回、オタク死す!デュエルスタンバイ!

 

・浦島

うらたそ(夢弟であり夢兄)〜〜!!!兄になりたいし弟にもなりたい。あの兄弟への接し方、何!?好きだ……

な〜んかほんとに純で、この地獄のようなストーリーの中で唯一の癒しというか……最初は人間と接触することで辛い思いをしてしまうのでは!?(大当たり)とヤキモキしていたけど、結構タフでよかったです。すこやか。

虎徹だから箱入りであまり物事を知らないことで、観劇している我々の導入を担っててあ〜となった。適材適所。

適材適所なのはキャスティングもだよ!糸川くんめちゃくちゃ浦島顔なので(?)キャスト発表されたときにわかる〜〜!!つったもん。

 

・日向

あのね〜、常識人枠。鶴丸によって教祖(天草四郎)に仕立て上げられてたのちょっと納得。教祖フェイスだもんな(?)

なんで日向は釣りがへたなんだろね?ただ浦島の釣りのうまさを際立たせるためってこと?

まさかの冒頭で漬けた梅干しができあがることで時間を表現するという。予想してなかった伏線でちょっとワロタ。うめ!かめ!うめ!かめ!は今回一番かわいいラップです。

 

・大倶利伽羅

今回の大倶利伽羅かなりよかった。彼にこんな大切に思う感情湧いたの初めてやわ。彼って慈しむ対象のキャラ(例・うらたそ)というよりは仲間になりたいキャラなんだよな。

鶴丸と大倶利伽羅の最悪な共犯関係、何。「浦島には見せたくないだろう?」って鶴言ってたよね!?いい関係性ですね……(共犯関係に弱いオタク)

あと謎の大倶利伽羅レーニングヒップホップ、何!?唐突すぎて混乱した。ラップしとるし。

そんでオチよ。大倶利伽羅さん舌壊人(ぜっかいびと)なんですか〜!?になった。あの性格で舌壊人はゲラやろ。ズルい。

 

 

 

 

  • 2部

一番初めに家臣ズが、コーレス禁止、拍手でレスポンスしてね〜ってのを説明してくれたんだけど、片方が加州のモノマネしてて(たしか「主、俺のこと、ちゃんと可愛がってよね」)それがめちゃくちゃあの加州に似ててツボだった。

 

前奏、一部でも使っていた障子を使った演出。個人的には遊郭の戸(張見世)みたいだなと思った。

 

M1 全員の曲

今の僕になるため この声が枯れ果てても

 

M2 松井ソロ

no gravity 

一部冒頭の、人々の上を渡っていく天草四郎と似た演出(椅子の上を渡っていく)があったのと、繰り返される"no gravity"からストーリーとのリンクはほぼ確実。

 

M3 豊前と大倶利伽羅のデュエット

like a yellow sac spider

めっちゃかっこよかった!!セクシ〜!Bメロが交互にラップで、腰クイってする振り付けあったりした。脳がデロデロになる。

 

M4 浦島と日向のデュエット

可愛くてポップでボカロっぽさ。間奏でまさかのダブルダッチがあり、ジャ○ーズみも感じた。

 

M5 鶴丸ソロ

in my groove

サビ、一番でユートピア、二番でディストピアって歌詞があったのでこれもストーリーとのリンク確実。三階のため画面の歌詞がほぼ見えず。

今回は正統派アイドルな感じの衣装だったんだけど、鶴丸は白いからマジでジャ○ーズっぽかった。

 

M6 (おそらく本来は)客降り  タカラモノ

ドッヒャ〜〜!!!!タカラモノて!!!!

永遠を信じたい。こちらからは以上です。

 

M7 新曲

いつものテイストを踏襲した脱ぎ曲。なんすか、あの、豊前の第三形態は……。ヒッて言っちゃった。悪い貴族の遊びじゃん。

観てない方に説明すると、トップスが超ショートタンクトップで(もはやビキニ的)バキバキの白い腹筋が全て見えているスタイルでした。村正の第三形態より丈短かった。

 

M8 人間キャスト 戦うモノの鎮魂歌

ドッヒャ〜〜!!!!レクイエムて!!!!

歌詞が本作にかなりリンクしててすごかった。なんなら阿津賀志よりもリンクしとる。

 

M9 刀剣乱舞

 

 

いや〜正直タカラモノと鎮魂歌で記憶が全て吹っ飛んだ感はある。私はタカラモノにかなり思い入れがあるので(精神不安定だったあつぱり期間にずっと聴いていた)、私信!?!?になった。とうみゅくんとツーカー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶違いなど多々あると思うので今後気づいた際はサイレント修正します。今後上演再開できることを祈って……

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