壁に向かって話し続ける

オタク女の備忘録

夏を惜しむ

こんにちは。こないだまでの暑さが嘘みたいに涼しくなりましたね。過ごしやすい季節になると胸がザワザワして落ち着かないのはわたしだけじゃないと思います。気候に虐げられてないとなんか怖い。生きにくいですね。

 

さて、こんな秋も深まってきてからこの曲を聴いてしまったせいで死にたくなってます。

もしかして今年の夏、何もしてなくない?……よく考えてみればわたしにとっては十代最後の夏だったんですけど、有意義に使えただろうか。

このMVみたいなドラマティックな青春をしてみたかったけど、こういうのって当事者は全然「青春」の自覚がなかったりするんだよな。

あとこの曲、詞が独白の形になってるんだけど、いつのタイミングでの独白なのかごちゃごちゃなんだよね。

「パッと光って咲いた 花火を見ていた (中略)  この夜が続いて欲しかった」

過去形だから過ぎた夜のことを言ってるはずなのに、直後に「この夜」って出てくるし。心はまだ花火の夜にあるんだろうな。エモ。2番Aメロ、米津さんで一番好きな音域かもしれん。

 

さて7月のわたしは夏のめあてとして「本を読む」を掲げたのですが(小学生か?)、やはりなかなか時間が取れず、専門書以外の小説は6冊しか読めなかった。でもめげずにそれらの感想を書いていこうと思います。ランキング形式にしよう。ネタバレあるので注意。

 

6位『恋文の技術』森見登美彦

書簡体小説っつーことで、1人の人間を多角的に書くことへの挑戦的な?教え子を入れたのが効いてた。良いところは登場人物の血が通ってること、悪いところは登場人物の自意識が時折キモいこと、あと清々しいくらい得るものがないこと。森見作品もうほとんど読んだんじゃない?とwikiを見たら、半分くらい未読だった。解せぬ。テーマも登場人物も似てるからなぁ……

 

5位『爪と目』藤野可織

3つの話を含む短篇集なんだけど、静かな中になんとも言えない不吉な感じがあってすごい。

表題作、胸糞形かと思ったら割とリアル。現実こんな感じじゃない?その中を波風立てないでやっていかなきゃいけなくて。あとメタファ使いすぎで面白かった。独裁者と伝記作家、乾燥と潤い、コンタクトレンズ…… 「しょう子さんが忘れていること」明らかにされてない事柄がたくさんあって怖い。ミステリっぽさもある。結局しょう子さんは何を忘れているのか?                     「ちびっこ広場」不吉なことは何一つ書いてないはずなのになんでこんなに不吉なの。終わり方もかなり怖い。

 

4位『ジョーカー・ゲーム柳広司

クセがないというか作者の自意識が感じられない文章(?)で非常に読みやすかった。アニメが面白かったので原作読んだんだけど、構成そのままだったのか……柳さんの構成にそれだけスキがないってことだよね。

 

3位『ポイズンドーター・ホーリーマザー』湊かなえ

たぶん誰しも他人の愚痴というかマイナスな感情を消費したい時があって、そういう日に湊作品を読むんだろうなと思ってる。いくら胸糞悪くてもフィクションだから、引きずることなくサクッと消費できるもんね。2chアンチスレとかツイの愚痴垢とか見るよりよほどマシ。人間のメンタルの流れを分かっててこのジャンル書いてるんだったらすごい。

 

2位『エクソダス症候群』宮内悠介

ハピエンのSFって虚無を感じる……全体的に、わかる〜〜!という精神病の症状の記述が多かった。希死念慮は逃避への希求、それな。逃避先としてシステムの違う社会を複数用意しておくのとかよいのでは?人間を損なう社会、シンプルに本末転倒だもんな。精神のあり方と宗教のテーマも面白かった。

 

1位『エムブリヲ奇譚』山白朝子

予想より面白かった。これも作者のクセがない文章でさらっと読めた。短篇集なんだけど、完全なオカルトから本当は人間が一番怖い系の話までフルコースで、エンタメとしてとても良かった。わたしは「〆」が一番ぞわっとして好きかな。あと蠟庵せんせのマイペースさ、探偵みある。

 

以上。ほんとはこないだ観た舞台の感想も書きたかったけど、さすがにごちゃごちゃしすぎなので分けます。 では。