刀ミュ 阿津賀志山異聞2018〜巴里〜 感想など
阿津賀志が……終わってしまった……私の夏が……。
こちらは呆然としておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
巴里から始まり、北園さんの件など大変なこともありつつ、昨日大千穐楽が無事終わったわけですが……。公演中は北園さんのことでめちゃくちゃ不安になったり、卒業の噂を聞いてこれまためちゃくちゃ不安になったりしながら青年館に通うという情緒不安定・おたく生活をしていたけど、こうして終わってしまうと、毎度のことながら、喪失感がすごい……。
はい。前置きはともかく、書いていきたいと思います。
・1部 大きく内容のこと
開演前のオルゴールは「キミの詩」。これは初演と同じなのかな?気になってるので情報求む。
当たり前だけど、脚本・演出ともにブラッシュアップされていて、無駄がなく、かつ因果関係がすっきりしていてすごく良いと思った。
初演でのゲームシステムの流用がグンと減って、ゲームユーザーに媚びる演劇(言い方は悪いけど)から一般演劇にとても近づいたのではとは思った。あの大仰なプロジェクションマッピングもほぼなくなっていたし。
泰衡とか取り憑かれた義経公のキャラもそうだけど、.5であるがゆえに無意識にイロモノに寄っていた話のディティールが、より現実に近づいた気がする。
あとギャグパートでドカンとぶち込んでくるのもすごく良かったです。
・『つはもの〜』との接続
冒頭、蓮の花を持った三日月が登場し、「花のうてな」を歌う。義経と泰衡との戦闘が始まり、義経は泰衡にとどめを刺す寸前で刀をしまう。この歴史がどんなルートを辿ったのか詳しくは分からないけど、この場面から義経が泰衡に良くしてもらっていたことは読み取れる。
これはこの6振りで阿津賀志山に向かう以前、加州曰く阿津賀志山に「何度も行ったことある」三日月が、そこで見てきたことなんだろうと思う。何度も何度も違うルートに逸れようとする歴史に干渉し、生き延びられる人間を"正しく"殺してきた。名残月のシーンで「言葉など偽りばかりよ」と憎々しげに吐き捨てたのは、言葉によって人間たちの籠絡を繰り返してきた己に向けられた言葉だったのかもしれない。
と、ここまでが『つはものどもがゆめのあと』あってのプロローグみたいなものかと。
その後本丸に場面は移り、三日月と小狐丸が舞を披露する。
夢のお告げ 雲の上なる帝より
汝 御剣打てと 命下る
相槌なくては槌音響かぬ
はてはて 如何したものか
救い求め 参るは稲荷明神
共に御剣打とうと化身現る
相槌手に入れ槌音響き出す
はったはったちやうちやう
はったはったちやう
打ち重ねたる槌の音
天地に響きて夥し
表に彼の名 裏には我が名
ゆらゆらゆらゆら 揺らめく炎
冴え冴え冴え冴え 光る〜〜
〜〜〜〜 形を成してゆく
表と裏 夢と現
向かう槌音 向かう槌音
刻まれた 二つの銘
これも『つはもの〜』との繋がりを感じさせる仕掛け。つはもので小狐丸が一人であどうつ聲を舞った後、審神者が「三日月宗近はどうしたのですか」と聞くシーンがあったけど、正式なのが2人で舞うこのパターンだったんだ、という。
というか表と裏、夢と現をそれぞれ担当(?)するどこまでも対照的で対等なこの二振り、アツいよな……
・歴史上人物もろもろ
義経公
初演はどこが本来の義経公の人格で、どこが刀に取り憑かれた人格かが分かりにくかった(個人的に)ので、今回の取り憑かれると声が変わる演出がすごく良いと思った。
初演の「〜教えてくれた者がおる。わざわざ未来からのう!」って説明セリフもなくなってるけどこれは初演をみんな見てるだろうからということ?なくても話は通じるようになってるのかな?
義経公、ビジュアルからして美しいのに、性格まで健気でメチャメチャ愛しいですよね。「九郎は、九郎めは、兄上の弟でございます」がメチャクチャ好き。毎回愛おしさがすごい。というかこの兄弟、互いへの感情が濃くて、普通に好き……。冒頭の自害シーンの覚悟が決まった「皆の者、参るぞ」も好き。
取り憑かれた後も、美しいかんばせを歪め、瞳孔かっ開いた無表情で大立ち回りをするの、すごく……フェチ……(怒られろ) 片目だけにアイマスク付けてるの耽美かよ。刀ミュそういうとこあるよね。
あと刀に操られる(引っ張られる)ところの動きがメチャクチャ上手いです。
弁慶
最後の戦闘シーンで完全に取り憑かれている義経公に切り込む一瞬の苦悶の表情がすごかった。「何があろうと我が君は我が君なのだ!」とか、度量が大きいというよりも、義経に対する愛がすごく大きい……。
楽の太鼓パフォーマンスでの、「阿津賀志山異聞2018巴里、打ち納めじゃ」の言い方で泣きそうになった。あれはズルくない?!
泰衡
冒頭の泰衡と義経公が戦うシーン、殺されないと悟った泰衡が殺してくれってすがるように手をのばしかけたのグッときた。いい奴なんだよね……。
頼朝公
むすはじで堀川くんが縛られてた台に縛られててちょっと面白かった。弟に対する感情が濃い。棟梁がんばれ。
・刀剣男士
全体的にかなり初演と変わっていた。単純に俳優の技術や演技が向上しただけじゃなくて、脚本・演出・俳優自身と、各々のキャラ解釈が変わったのかなとはとても思った。
お人形さんみたいな人間を超越した美しさなのに出陣前にお茶を飲んで相好を崩すの、温度差でこちらが体調を崩すから助けてほしい。かと思えば殺陣は素早く直線的でガツガツしてるし(青いイナズマという単語が頭に浮かんだ)、なんというか 多面性の鬼。
「冗談だ。俺の言うことは 殆どな」と言いつつも、仲間がいないところでは悲壮感も漂う表情なの、本当にさ……。
ねっとりした能みたいな歌い方がすごく上手い。まりおくん、今やりたいことを聞かれて「歌舞伎とか伝統芸能を見て学んでいきたい」って発言してるのをどっかで見たし、その向上心に感謝。
小狐丸
岩崎さん、千穐楽が終わるまで小狐丸の姿の写真をアップしなかったの、すごいな……と思った。楽のカテココメントも北園さんへのリスペクトが感じられて胸が詰まった。しっかりした人(と言ったらあれだけど)に代役をしてもらってありがたいです。また北園さんの小狐を見られる日を待ってます。
石切丸
初演と比べてもう全て"分かっている"石切丸だと思った。清光に「あんたがなんで戦が嫌いなのか、わかった気がするよ」って言われた後の「え……」もなくなってたし、不穏な「来るよ」になってた。「ここは新撰組ではない」の重みも…… しかし矛盾という名の蕾、メチャクチャ歌上手かったな。実感のこもった「己が武器であること 忘れたことはない」だった。
割と今回(も)石切丸渋い顔しがちだからずっと声が低い。どこのシーンだか忘れたけどゲームの声にすごく似ててハッとした。
「牛に引かれて善光寺参りだねえ」なんでなくしちゃったんだろ……好きセリフだったんだけど……「世話をかけるね」になってた。 あと「体がいくつあっても足りないなあ」から「肉体が〜」になってて、ここはナイス!って感じ。
崎山さんの殺陣とかダンスの時の安定した重心が好き。ターンする時のぶれない軸すばらしくない?軸足が左でも右でも美しいのすごい。あと三日月もだけど袖さばきが美しい。
殺陣だと前に踏み込む斬り込みが好き。敵に刃を押し当ててから峰のところに左手で力を入れて斬るのとか、因果関係がしっかりした殺陣だったように思う。
「気は……よし。履物も……右よし 左よし 烏帽子の紐もしっかりと……」のとこ最高だった。その後の「こればかりはねえ」もかわいい。あの人自分のかわいさ分かってるやろ……。
石切丸の読む祝詞CDがほしいです!!!あそこあまりにいい声だし、あんなガチな祝詞読んでくれるとは思わなかった。笑いが起こっちゃってよく聞こえなかったのが残念なので……特典か何かでもいいのでCD化をぜひ……毎日祝詞ききながら寝たい。
薙刀の重さをきちんと感じられる殺陣はさすが。最後の取り憑かれた義経公との戦闘シーン、やられる演技が上手くて非常に痛々しかった。
初演では大口開けて笑ったり歌ったりしてたのに、今回はそうでもなくて、品が良くなったのかな?と思った。
今剣もだけど、やっぱラストの戦闘シーンは比べ物にならないほど良くなった。戦闘の途中で脱げていく衣装も優れすぎでしょ。
今剣
大平さんの憑依型の演技には本当に恐れ入ります……。純度100%の今剣で怖いくらい。パンフで茅野さんも言ってたけどね。
演技への感情の乗せ方がすごいナチュラルで、こっちもナチュラルに感情移入できた。特に「おぼえている」以降の感情の高まりはすごいの一言……。岩融がくずおれて踏みつけられているところ、ずっと泣き声で「いわとおし……!いわとおし!」って無意識みたいに言ってた回があって、こっちも鳥肌だった。
初演で個人的に引っかかってた「やっば!!」とか「ぎく!!」がなくなってたのは良かったです。
そういえば、弁慶がいまつるのスネ攻撃して「ぼくじゃないです!!」てなってたのはマジで笑った。微笑ましい感じのギャグセンスが超一級。
楽のカテココメント聞きました!?さすがすぎませんか!?大平さんのファンサのセンスというか観客を慮るセンス、本当に尊敬する。
「あるじさまたちはいつも僕たちの味方でいてくれました!だーかーら、僕たちも、どのあるじさまもどんなときも、あるじさまたちの味方でいます!」(要約)
いや、我々に「味方」なんて言ってくれるありがたい存在、いる? 親かよ……。孝行しなきゃ……(?)
清光
間の取り方が上手くなったな〜と。初演の時点で割と完成されてたからどこ変えてくるのか心配だったけど、対審神者のところとか確実に初演より近づいてきたなと思いました。
戦闘で軽くやられて上手にはけるところ、咳き込んでるのびっくりした…… 賛否両論あるっぽいけどわたしは理にかなった解釈だと思う。
楽でラストの「ちゃあんと見ててよね」のあとにウインクぶち込んできたのヒッ……となった。やはり怖いですね総隊長。
・蓮の花に関する演出について
冒頭のシーンで三日月が置いた蓮は、私が確認した限りだと必ず兵士に踏まれていた。そして義経公と泰衡との戦いの中でそれが客席に飛ぶ。
ミスか!?と初見時に思ったのも仕方ないことで、小道具を客席に飛ばすなんて演出はとても珍しい。この演出、なにか意図するものがあったのではないか。
『つはもの〜』では、人間たちに干渉し、正しい歴史通り彼らを殺す(死ぬように仕向ける)三日月と「友」である泰衡との間で、象徴的に用いられる蓮。
しく しく(頻く頻く)
くれ くれ(呉れ呉れ)
しく しく(頻く頻く)
くれ くれ(呉れ呉れ)
纏う黒き衣泡沫の役目
満ちては欠けてゆく玉桂
半座分かつ 花の台誰が為にそこにある
宿世分かつための
花の台
「華のうてな2」から引用。 運命をともにすることの例えとして「蓮の台の半座を分かつ」という言葉がある。それが「誰がためにそこにある」ということは、刀剣男士であり、また味方にも黙って"歴史"を守り続ける三日月には、人間たちのように運命をともにする相手がいないということなのかと。髭切が三日月の尽力を明らかにしてくれるのはこの先の時系列だし。
そして蓮を客席に投げたことは、三日月の行動とその苦悩を垣間見た観客に対して、運命をともにする……とまではいかなくても寄り添ってあげてほしい、的な文字通りの投げかけ なのでは、、?ちょっと根拠が弱いけど……。
この考えに至ったきっかけが、小狐丸と舞を舞ったあとの三日月の「主に舞がわかるのかなあ」ってセリフ。もしかして我々は試されているのか!?となって……。メタだよね……。
・2部
オープニングパフォーマンスの曲が幻想即興曲だった!!!フランス仕様じゃん!!(ショパンは主にフランスで活動していた)
衣装がダサいという意見もチラホラ見たけど、パリのあんま詳しくない観客が観ても誰が誰だかわかるように、第一形態からキャラのイメージカラーをプッシュしてきたのかなって……。
M1
彷徨う闇の中 追いつかれないように
祈りよりも強くただ 呼びかける君へ
その記憶 解き明かせたら
もう迷わない
lost 〜〜 memories
一曲目が一番覚えにくいという。クール系のかっこいい曲。
M2
限りある世界だって
曖昧な未来だって
消せない 消せない 消せない
光が ここにあって
信じ続ける 今の自分自身を
照らせ in my life
これもクール系のかっこいい曲。イントロに敬礼があったり、両腕上げる振りがあったり、衣装も相まって戦隊っぽい。うぉおっおっお〜〜
MC
伝説を生んだ回に居合わせてしまったのでそれだけ書きます。
禊のお題は「都の暑さを和らげる鴨川のせせらぎのような(ここまでは恒例)盆にちなんだ豆知識」で、当たったのが石切丸。
「お盆という言葉は盂蘭盆会からきているから仏教の行事だと思われがちだけど、ご先祖様を供養する民間信仰と合わさってできたものなんだ。だから、つまりはご先祖様を敬う心が大事なんだよ」(細かいところは自信ない)
三日月が「長いな」って言っててそれなとなった。無茶振りお題に対してあの数秒でここまでガチな回答用意できるのすごくないですか対応力。宗教になっちゃう><とハラハラしたがそこも無難にまとめてきて……流石なんだよな……
そしてその後客降り曲の大サビ前で「みんなでご先祖様にお祈りしよう(?) はっはっはみんなのご先祖様も喜んでいるよ」的なこと言っててまた笑った。何の集会だよ。
M3
あいあい愛想笑いでも 構わないよ
まいまい毎日その仕草
どうか お願い ボクに 見せてくれよ〜!
断然キミに恋してるんだな!とりあえず
反則だよ!照れ笑いからの
上目遣いで もう無理〜!
何遍だって伝えたいから 笑うなよ
とっておきの 胸いっぱいの
キミのためだけの I love you
ああ 今日も キミに会いたくなる
石切丸・今剣・岩融のハッピ〜〜な曲!めちゃくちゃかわいい!○ャダイン感!
石切丸さんが1番のAメロでいきなり投げちゅしたの普通に死んでしまった。希少価値が高い投げちゅだ……。 あと「お願い!♡」で必ずと言っていいほどウインク入れてくるいまつる〜〜!!!お前だよ!!!!!あんなんでお願いされたら500万振り込んでしまう。「何遍だって伝えたいから」のとこの振り付けがかわいくてコミカルで好きです(伝われ)。
M4
Timeline
僕がいなくてもまた 色鮮やかに君の
時間は流れていくよ
Timeline
だけど知りたい君を いつも見ていたい
Timeline Timeline
三日月しかいないステージから北園さんの小狐丸の声が聴こえてきた時の驚き・悲しみといったら……。しかもそこの歌詞がね!また図ったように切ない……。
暗くなりそうなので褒めに入ります。音源なのに北園さんメチャクチャ歌上手かったです。あの声が流れてくるとドーパミンが大量分泌される身体になってしまった。早く配信してください。
M5
綺麗な君にしたためた花言葉
胸にただ抱きいだく僕は馬鹿ですか
花はまだ夢の中
瞳に映る君は 霞んだ空の向こう
心の奥に宿った蕾 君に伝えられなくて
ひらひら 重ねた
清光ソロ。情熱のsymphonia系統の曲。早口で音ハメが難しそうなのに、しっかり踊りつつこなしてて流石……となった。流れるように投げキスっぽい振り付けが入ってるのも流石。
「したためた」って何の花言葉なんだろう。真紅の薔薇は清光自身を表す花だと思ってるから漆黒の椿かな〜と思ったけど、、? ちなみに真紅の薔薇は「情熱・愛情・あなたを愛します・美 」、黒い椿は「気取らない優美さ」という花言葉があるらしい。
M6
365日 明日は明日の色になる
大好きだ大好きだ大好きだよ!
looking for your love!
looking for your happiness!
客降り。今回は珍しくラブソングじゃなくて"愛"って感じの歌……(つたわれ) どれもハッピーでめちゃくちゃ好きです。このハッピーさが刀ミュの魅力に他ならない。
太鼓パフォーマンスを挟み、
M7
漢道! イントロで岩融が清光のことリフトしててびっくりした!いまつる以外を持ち上げるの初じゃ!?間奏で紐回すのは同じだったけど「ソイヤ!」がとても控えめでこちらもびっくり。何故?パリ仕様?(?)
「もう迷わない」が近づいてくると息吸い込んで口の中湿らせて、\キャー!!/の準備をするのがわたしだけじゃないって信じてる。
こんな感じで『阿津賀志山異聞2018〜巴里〜』が楽しく、切なく、美しかった話でした。あ〜〜終わっちゃったのか……そっか……(まだ信じられてない)
夢みたいな時間をありがとうございました!